自分の得意な“型”をひとつ持て。加藤一二三氏が「棒銀戦法」を通して教えてくれたこと
加藤一二三さん9月毎日更新 Q5. 「棒銀戦法」へのこだわりを教えてください。
将棋界に「棒銀党」は3人だけ
棒銀戦法は非常に効果的な戦法ですが、実際に使うトップ棋士はそんなに多くはありません。私の他に飯塚祐紀七段と高野秀行六段だけ。将棋界に「棒銀党」は3人しかいないんです。
やはりプロの世界ですからみなさん好き嫌いがありますが、私は長年棒銀で戦ってきました。引退した今でも、棒銀戦法は非常に効果的な作戦だと思っています。
しかしですね、棒銀戦法を長年やっていると、当然研究されます。羽生善治三冠は、著書のなかで「棒銀は若手棋士たちの間で研究材料になっている」と。
私が棒銀戦法で来たら喜ぶそうですね。狙い撃ちにされていたそうですが、実は数年前に棒銀戦法のすばらしい攻め方を見つけました。研究しつくされた棒銀戦法ですが、それを上回る手を発見したのです。この棒銀戦法は引退までこだわっていました。好きな駒も銀将ですし、1982年の第40期名人戦で中原誠名人と戦って勝ち、念願の名人になったのも「3一銀」でした。
明日の第六回の質問は「Q6.棒銀戦法のメリットや「型」を持つことのメリットは?」です。
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